1. 赤崎行政書士事務所 / 広島県府中市
  2. お仕事ノート
  3. 運送業許可を取得後に更新が必要になる改正が議論されています

お仕事ノート

運送業許可を取得後に更新が必要になる改正が議論されています


前回の記事でご紹介したように、現行の一般貨物自動車運送業(以下、運送業)の許可制度には更新手続きがありません。一度許可を取得すれば、報告書提出や変更届などを行いながら事業を継続できる仕組みです。

しかし、近年の業界事情や社会背景を踏まえ、「運送業許可に更新制度を導入すべき」との議論が進んでいます。本記事では、更新制導入の背景とその影響について詳しく解説します。

1. なぜ運送業に更新制が必要とされているのか

(1) 悪質業者の排除

長年の過当競争や一部の悪質事業者による法令違反が、運送業界全体のイメージや収益を圧迫しています。定期的に許可を更新する仕組みがあれば、法令を守らない企業を排除する効果が期待されています。

事例: 近年、違法な低賃金労働を強いる事業者が問題視されており、これらの企業が市場に留まり続けることが、業界全体の信用低下につながっています。

(2) 適正な競争環境の確立

運賃のダンピングや過度なコスト削減が横行すると、結果的にドライバーの労働環境が悪化します。許可更新の際に労働環境や安全対策を審査することで、適正な競争環境を取り戻そうという狙いがあります。

行政の視点: 労働環境の改善が進まなければ、若手ドライバーの確保が難しくなり、業界全体の人材不足が深刻化する可能性があります。

2. どのような改正が検討されているのか

(1) 適正競争特別措置法(仮称)の議論

2025年の通常国会に向けて、運送業許可の更新制を盛り込んだ法律案が議員立法で提出される見込みです(仮称:適正競争特別措置法)。これが成立すれば、運送業の許可が一定期間ごとに更新制になる可能性があります。

(2) 更新審査の内容

まだ詳細は決まっていないものの、更新審査でチェックされると想定される項目は次のとおりです。

・法令順守状況(労働基準法や安全管理規定など)
・営業所や車庫などの設備面の基準
・経営状況(安定した財務体質や資金繰り)
・2024年問題への対応(労働時間規制や長時間労働削減の実施状況)

参考: バス事業の更新制度では、経営状態が悪化した企業の淘汰が進みましたが、その影響でサービス提供地域の縮小が問題視されています。貨物運送業では同じ問題が発生しないような制度設計が求められます。

3. 予想される影響

(1) 中小事業者への負担

更新審査に対応するためのコストや書類作成の負担が増し、中小の運送事業者には大きな負担となる可能性があります。一方で、政府や業界団体による支援策(書類作成サポートや助成金など)が検討される余地も大いにあるでしょう。

(2) 業界の健全化

悪質業者が市場から退出し、適正な運賃や労働環境を整えることで、ドライバー不足の解消や事故防止につながる期待があります。長い目で見れば、業界全体がプラスの方向に転換するきっかけにもなるでしょう。

(3) 行政書士の役割の拡大

・許可更新の手続きを支援
・事業計画の適正化に関するアドバイス
・法令順守のためのチェック体制構築

アドバイス: 事業者は早めに行政書士等の専門家に相談し、制度変更に対応できる準備を進めることが重要です。

4. まとめ

現行制度では一度許可を取得すれば更新は不要ですが、運送業許可に更新制を導入しようという議論がますます活発化しています。悪質業者の排除や業界の適正化を目的とする一方で、中小企業にとっての負担増や具体的な審査基準など、解決すべき課題も少なくありません。

今後の法改正の動向を注視しながら、運送事業者は今のうちから法令順守や適正な運営体制を整備しておくことが重要です。当事務所としても、新制度にスムーズに対応できるよう、最新情報をお伝えするとともに、必要なサポートを行っていきます。


タグ:運送業許可 改正 更新 適正競争特別措置法

お気軽にご相談ください

お問い合わせフォーム

お問い合わせフォーム

LINEでお問い合わせ

LINEでお問い合わせ

Chatworkでお問い合わせ

Chatworkでお問い合わせ

0847-45-2488

受付時間:平日9:00-17:00(12:00-13:00をのぞく)

お電話でお問い合わせ